ヤスクマの卓球Log

卓球が好きな大学院生のブログ。デュエプレや投資などなんでも書きます。

ATRI -My Dear Moments- 感想

ノベルゲームだから、おもしろい

皆さんは、いわゆるノベルゲームをプレイしたことはありますか?文章を読んでいき、時に選択肢を選びストーリーを進めていくゲームです。ギャルゲーだったりがこのジャンルで15年前くらいは人気なコンテンツでした。Keyやleafなど人気なメーカーが沢山あり、アニメ化される作品も多く存在しました。

近年では、スマホゲーム等の台頭により正直下火になってきていて業界としてはあまり盛り上がっていない気がします。自分の周りのオタクでも、昔はやったけど今はやってないという人も多くなっています。

そんな中、アニプレックスがノベルゲームに参入し、ANIPLEX.EXEというブランドから2つのPCゲーム「ATRI -My Dear Moments-」と「徒花異譚」を発売することが発表されました。どちらも2000円とロープライスで全年齢対象、DMM GAMESとsteamでの配信です。

「ノベルゲームだから、おもしろい」、このキャッチコピーで発表されたこの2つの作品、なんといっても制作スタッフが豪華ですごい!のですがそこにはあまり触れず、今回プレイした「ATRI -My Dear Moments-」(以降ATRI)の感想について書いていきます。ネタバレはしないように書いていますが、気になる人はプレイしてからご覧になってください。

最初に少し感想を述べると、綺麗にまとまった作品で素晴らしいなと思いました。僕は、特にノベルゲームをやったことのない人に是非プレイしてみて欲しいと感じました。プレイ時間も10時間くらいですし、値段も2000円とお手頃ですし。

atri-mdm.com

 

海面上昇によって陸地の大部分が沈んでしまった世界

幼少期に母親と片足を事故によって失ってしまった義足の高校生「夏生」。 夏生は、都市から海辺の田舎町に来たが、身寄りのない彼に残されたのは亡くなった祖母の借金。借金を返すために借金取りのキャサリンと共に、海に沈んでしまった祖母の遺産をサルベージすることになった。そこで見つけたのが、ヒューマノイドである「ATRI(アトリ)」だ。

アトリを売って借金を返そうとするが、アトリは以前のマスターが残した命令を完了したいため、売却まで45日待って欲しいと言う。そして、海に沈みゆく町で夏生とアトリの物語が始まる…

という感じのあらすじです。

感想

 ロボットらしくなく感情表現豊かなアトリがすごくかわいいし、水菜萌や竜司などのサブキャラも個性的でとても魅力的です。こんな人たちに囲まれて生活できたら幸せだろうな感じました。

 

序盤は、青春!!ていう感じです。その中である意味異物だった夏生は周りの人々に受けいれられていきます。シナリオの紺野アスタさんらしい物語だなあと。紺野アスタさんがシナリオを担当された「この大空に、翼を広げて」に似た感じもしてとても好きです。ご都合主義的なところはあるけれど、やっぱり目標のために力を合わせて努力していく物語は良いですね。

 

中盤は正直微妙かなと思ったんです。海に沈む世界、人間らしいロボット、AIの心、田舎での穏やかな暮らしなどATRIでのテーマ・設定は、今となっては少しありきたりだと思ってしまったから。よく言えば王道なんですが

 

でも、終盤に行き最後まで進めるとこれで良いんだなと思いました。そもそも物語の良さは設定の奇抜さでは決まらないんですよ。もちろんそこも大事だがそれだけではない。夏生とアトリの物語に、そのような奇抜さとかいらないんです。話を進めていくなかで上に挙げた設定が有機的につながり、まとまっていく。これで必要十分なんだと最後には感じることができた。

 

ロープライスにありがちな物足りなさは全くなかった。むしろ中だるみがなくてちょうど良さすら感じることができました。また、演出・背景・音楽どれをとっても素晴らしいです。特に背景がめっちゃ綺麗、わいっしゅさんマジでおかしい(誉め言葉)。

 

全体を通して、綺麗に物語がまとまっているという印象を受けました。物語というのは主人公が問題や人間に出会い変化していくものですが、このATRIはその点が明快に書かれていて分かりやすいです。分かりやすくまとまっていることは良いことなのですが、その分濃密さはなくて微妙と感じる人もいるんじゃないかとは思いました。しかし、こういうのってトレードオフなので仕方ないのかもしれないですね。

 

 最初の方にも書いたのですが、やっぱりノベルゲームやったことない人に是非やってみて欲しいです。2000円は安いし、ボリュームもちょうどよく忙しくてもプレイできるので。物語を通しての夏生とアトリの変化を楽しんではいかがでしょうか?

 

最後に

紺野アスタ作品をやってきた僕としては、通い妻とかFRPとか「みあげて」と「ころげて」が想起されるようなワードがいくつかあって楽しかった(小並感)。